今までは先行して策定されました施設管理者に対してのガイドラインを見てきましたが、
先日公演主催者に対してのガイドラインも公開されました!
この中での登場人物?の呼称も施設管理者のものと統一されていますので、一定の共通認識を持ってそれぞれの感染防止策を練ることができそうです。
ちなみに今回公開された公演主催者に対してのものは「クラシック音楽公演」としています。
「基準を満たす換気設備が必ず設置されているべきコンサートホール」
「公演中、来場者は舞台を向いて着席して静かに鑑賞する」
という前提に則っての提唱になるので、この範囲から外れる場合はその部分の感染防止策は公演主催者が中心となって感染のリスクと対策を個別に検討しなければいけません。
どっちにしても。ホールの形状はもちろん、従事者の数や施設の立地など一つとして同じ会場はありません。前例が十分に出来上がるまでは特に、個々のケースに沿って事前のシミュレーションと打ち合わせが不可欠です。
それでは改めて。施設管理者に対するガイドラインの5にあたる部分を公演主催者に対するものと照らし合わせて見ていきます。
《公演前》
(1)入場制限
各都道府県のロードマップや解除段階の目安にしたがって、施設管理者と相談の上、入場者数を決めます。その際、ターゲットである客層によってチケットの販売方法(電子決済や電子チケットが可能か)親子室は利用可能か、十分な距離をとった指定席やゾーニングの計画なども合わせて考えます。
チケット販売後、公演当日までに来場者と連絡を取る必要性があるため、購入時に来場者のお名前と連絡先を申請してもらう仕組みを準備します。
(2)来場者の情報と周知
前項のように、来場者の連絡先はチケット購入時に必ず取得するようにし、公演前までの体調管理、当日の注意点など必要に応じてご連絡します。
また、平常時の公演と変わる点で来場者に関する部分はチケット購入前に伝わるよう、チラシや告知に記載します。
健康状態に不安がある、地域の感染者の状況が思わしくないことが理由のキャンセルの場合、キャンセル料はどのように対応するのかをあらかじめ話し合い、対応窓口と方法を設定しておきます。
来場者に周知する内容は公演や施設によって変わるので、施設管理者とも相談します。
(3)公演関係者の情報と周知
公演関係者へは業務を依頼する段階で公演の感染防止策の方針や連絡先名簿を作成する旨を確認し、当日までの体調管理や当日の注意事項を伝えます。公演当日の1週間ほど前からは特に健康チェック項目に不安がある場合は専門医に相談し、必要であれば代替要員や公演キャンセルを検討する。
《公演当日》
(1)来場者の健康チェックと感染防止策の呼びかけ
当日、体温計測と健康チェックを済ませてから出かけるように事前に周知しておきます。
コロナ感染症に由来する理由で来場者や公演のキャンセルが発生した場合、あらかじめ設定しておいた対応窓口で対処します。
(2)来場者の入場時の対応
当日券の販売が可能か、また方法について事前に検討しておきます。
指定席とゾーニングによる時間差入場、来場者の列が予想される部分でのフロアマーク、電子チケットや来場者自身でのチケットもぎりなど非接触の体制、サーモカメラなどによる体温計測、入場時に手指消毒。
ロビーや通路に来場者が密集しないように一方通行の順路を示しておくと良いと思われます。
来場者の着席してからロビーへの動きの要因は「トイレ」「電話」「水分補給」なので、時間差入場から着席までの間に済ませてもらうように促すことも検討したいです。
クロークについてはガイドラインでもまだ議論の余地がある部分ですが、極力利用しなくても大丈夫なように呼びかけをすることで各所の負担が軽減されると思います。
通常入場時に配布されるプログラムですが、各自でとってもらう、事前にデータで配布し来場者が印刷するなど工夫が必要です。
(3)公演会場内の感染防止策
ホール内での会話は控えていただく、マスクの着用を呼びかけます。
ホールへの出入口は一方通行にし、来場者が遠くからでもわかりやすいように掲示します。
ホール、ロビー、トイレは各施設の広さに応じてゾーニングをして数名スタッフを配置し、来場者への案内と巡回清掃、曲間の扉の開閉などを行います。
トイレは便器の数を基準にトイレ内の定員を定め、利用待ちの列ができる場合には距離を開けた整列を案内します。トイレのコラムでも考えましたが、トイレの蓋を閉じてから水を流す、ハンドドライヤーは使用しない、前の使用者の後は数分間を開けることが望ましい(トイレ内定員を便器の数の半数程度に設定することで可能になるかと)など留意することがあります。
公演中の休憩に関しては、十分に余裕を持った時間、こまめな休憩、曲中曲間のホール出入りを可能にするなどそれぞれの公演の形態に合わせた方法で短時間のうちに人の動きが起きてしまわないように計画します。
(4)公演関係者の感染防止策
リハーサル日も含め、体調チェックと体温計測を出かける前に実施し、手指消毒や手洗いうがい、出来る限りのマスク着用などを励行します。
舞台装置などの仕込みが終わって舞台に上がれるようになってから公演関係者は会場入りすることで、待機している間の密集を避けます。
リハーサルや公演合間の待機場所は接触感染を回避するため、舞台裏や楽屋など十分なスペースの中で各自距離をとった場所を確保し、1日を通してなるべく移動を控えることが考えられます。
ステージマネージャーや舞台技術スタッフが指示をする際は施設の音響設備または拡声器などを使用します。また、リハーサル中の指揮者などへの指示はピンマイクを使用することも良いかもしれません。
舞台上での出演者の配置に関しては様々な検証が行われていますので、それに準じて対策をしていきます。
ケータリングなどの設置は密集や接触につながるので、合間の食事や水分は個別に用意し、ゴミは各自で持ち帰るように連絡します。
(5)感染の疑いがある者への対応
当日、来場者や公演関係者に感染の疑いがある方が発生した場合、別室に隔離します。
その際、当事者と接して案内対応する担当は1名とし、マスクと手袋、フェイスシールドを着用します。
地域の保健所や医療機関と連絡をとって対応します。
当事者の情報と来場者であれば着席していたゾーンの把握をし、保健所の要請に応じて情報提供します。
(6)物販の感染防止策
インターネット通販の利用を促す他、電子決済や見本品を展示しないなどの工夫が必要です。
販売スタッフはパーティションやフェイスシールドを使用します。
(7)来場者の退場時の対応
終演後はすぐに立ち上がらず、ゾーンごとに時間差で退場を案内します。
退場時にも手指消毒や距離を詰めない、会話を控えるなど、速やかに帰路につくようにします。
公演中に一方通行の順路を退場時の形に変更し、忘れ物や人探しで逆流が発生しないように工夫します。
来場者は出待ちなどはせず、公演主催者によるご挨拶やアンケートなどはメールやハガキでやりとりします。
《公演後》
来場者と公演関係者の連絡体制を個人情報の取り扱いには十分注意して保持する。
一定期間(公演終了後3週間程度?と推測していましたが、概ね一ヶ月ということですね。)経過後、施設管理者に確認をとってから連絡用の情報を確実に破棄する。
このように二つのガイドラインから拾い上げてみると、公演当日は平常時よりも時間的、空間的余裕がたくさん必要ということがわかります。
そして、スマホを持っている人と持っていない人どちらにも行き渡る対策を考えなくてはなりません。
入場時のサーモカメラ。お値段を調べて見てびっくりしました。。ですよね。。
レンタルや代替品なども検討しないといけません。
手指消毒のアルコールをどのように手配するか、巡回清掃は公演主催者と施設管理者のどちらが担当するのか。。
組織による公演主催は進んでいくかもしれませんが、少人数や個人での公演主催はなかなか心が折れそうですね。
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